Journal of Okayama Medical Association
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腸球菌および糞便性大腸菌の水質汚染指標性に関する検討

国府島 泉 岡山大学医学部細菌学教室
金谷 誠久 岡山大学医学部細菌学教室
口分田 晃 岡山大学医学部細菌学教室
野田 泰子 岡山大学医学部細菌学教室
福原 明宏 岡山大学医学部細菌学教室
森 徳子 岡山大学医学部細菌学教室
金政 泰弘 岡山大学医学部細菌学教室
96_377.pdf 403 KB
発行日
1984-04-30
抄録
腸球菌および糞便性大腸菌の水質汚染指標性の検討を行ない次のようなことが判明した.○人糞便中に腸球菌は糞便性大腸菌の約10倍多く存在していた.○糞便水を25℃におくと糞便性大腸菌は増殖したが,腸球菌は増殖しなかった.○メンブランフィルター濾過滅菌河川水中でE. coliは微小濃度の栄養源を利用しているものと考えられる増殖を示した.一方,消化器系 病原菌(Sal. typhi, Sh. sonnei)は4日程度ですみやかに死滅するが,腸球菌はそれよりやや遅く死滅する良好な生残性を示した.○野外調査を行ない河川水から腸球菌・糞便性大腸菌の検出を行なった結果, 50例による両者の相関係数は+0.71で糞便汚染指標菌として相関性があることが示され,量的には腸球菌が糞便性大腸菌の2.3倍多く検出された.○検査における手技の簡便性を考察すると糞便性大腸菌の検出は培養温度(44.5℃)の管理がわずらわしく,ルチンとしては不向きであると考えられた.以上のことから腸球菌は糞便性大腸菌よりも公共用水の汚染指標として有用であると結論された.
キーワード
Enterococcus
Fecal coli-form
Water pollution
Biological indicator
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489