Journal of Okayama Medical Association
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RNAポリメラーゼに対するZnキレート剤: 1, 10-phenanthrolineの作用

美澄 博雅 岡山大学医学部癌研生化学
91_491.pdf 291 KB
発行日
1979-04-30
抄録
マウス腹水肉腫細胞より分離したRNAポリメラーゼI, IIに対する亜鉛のキレート剤, 1, 10-phe-nanthroline (OP) の作用を検討した.RNAポリメラーゼI活性を50%阻害するOP濃度は2mMであった.RNAポリメラ-ゼII活性はOPで阻害されなかった.RNAポリメラーゼとOPとを予めインキュベートしても,阻害の程度は変化せず, OPを除去すると阻害は回復することから, OPはポリメラーゼ分子内に強く結合している亜鉛に可逆的に結合することが示唆された.OPはRNAポリメラーゼIの転写開始反応を選択的に阻害することが示唆された.核内でクロマチンに結合したRNAポリメラ-ゼIの活性もOPによって分離酵素と同程度に阻害され,OPの結合部位が,分離ポリメラーゼIと同様にOPと結合できる状態にあることが示唆された.
キーワード
RNAポリメラーゼ
Zn結合酵素
Znキレーター
1, 10-フェナンスロリン
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489