Journal of Okayama Medical Association
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分娩及び新生児における脂質の変動について

小畠 嗣雄 岡山大学医学部産科婦人科教室
84_461.pdf 626 KB
発行日
1972-12-30
抄録
新生児初期における脂質代謝を検討すべく,分娩時母体血,さい帯血,生后第1日,第3日,第5日の血液を採取し,血清脂質の経日変化を測定した.分娩時に胎児は母体とは異なる独立した脂質環境を形成するが,代謝系の機能的成熟は完成しており,出生后の飢餓に伴なう生理的低血糖の進展にともなって,糖一脂肪酸回路を介して脂質分解が促進される.この様な異化過程の亢進は哺乳量の増大にともなって改善され,生后第3日以降は同化過程へと移行する.すなわち,新生児期の脂質代謝平衡は子宮外生活への適応過程と平行して変動するが,生后第5日に到って成人類似の安定平衡が達せられると結論される.
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489