ダイコクネズミ脳homogenateを用い,グルタミン酸-アスパラギン酸トランスアミナーゼ(GAT)活性に及ぼす18種の向精神薬,および3種の向神経薬の影響を測定した. 1. フエノチアジン系向精神薬は, Prochlorperazineを除く他の6種はいずれもGAT阻害を示し,阻害作用はChlorpromazineに最も強かつた. Chlorpromazine S-oxideはChlorpromazineに比してGAT阻害作用は著しく弱い. 2種のフエノチアジン系向神経薬はGAT活性に影響をみなかつた. 2. AzacyclonolはGAT阻害を示し, LSD-25は高濃度で阻害を示したが低濃度では影響を与えなかつた. 3. 中枢刺戟剤4種のうち, PipradrolとDMAEは促進, Methylphenidateは影響なく, Tofranilは阻害を示した. 4. バルビツール酸系睡眠剤AmobarbitalとPhenobarbital,非バルビツール酸系睡眠剤MethyprylonとGlutethimideは,すべて阻害を示した.しかるにバルビツール酸拮抗剤BemegrideはGATに無影響であつた.抗てんかん剤Primidoneは阻害を示した. 5. 実験に用いた中枢抑制剤13種のうち12種が阻害を示した. 6. GATに及ぼす作用において, ImipramineとChlorpromazineの類似, DiethazineやPromethazineとChlorpromazineとの差異を,化学構造における2個のN原子間の距離の一致と相異に対応すると考えた.