Journal of Okayama Medical Association
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脳の遊離アミノ酸について(X) 成熟ヒト脳およびヒト胎児脳各部位における遊離アミノ酸およびその関連物質について

深井 延浩 岡山大学医学部神経精神医学教室
71_3187.pdf 322 KB
発行日
1959-05-15
抄録
イオン交換クロマトグラフイーをもちいて,妊娠5ケ月および8ケ月胎児脳の各部位ならびに18才結節性硬化症患者脳の前頭葉,腫瘍周辺の非結節性組織について遊離アミノ酸およびその関連物質を各々分離定量した. 1) 妊娠5ケ月なうびに8ケ月胎児脳と成熟ヒト脳を比較すると,胎児脳と生後ヒト脳との間にはその遊離アミノ酸量にかなり著明な差異を認める. 2) 胎児脳では,脳各部位ともに多少の例外はあるが,生育の段階につれてタウリン,ホスホエタノラミン,グリシン,アラニン等は減少し,グルタミン酸,アスパラギン酸, γ-アミノ酪酸等は増加する傾向を示している. 3) γ-アミノ酪酸は胎児脳のいずれでも,視床下部で最高値を示した. 4) 生後のヒト脳で多量に測定され得るシスタチオニンは胎児脳にはほとんど存在しない.
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489