21世紀になって2017年までに,34件のノーベル生理学・医学賞と化学賞が出ているが,その約半数の研究に培養細胞(動物の細胞,あるいは,イースト)が使われている.すなわち,現代の生命科学の研究には,培養細胞がきわめて大きな役割を果たしているといえる.今回は,今から約100年前,細胞を培養して研究を進めようとした先見性に富んだ 2人のノーベル生理学・医学賞受賞者,Alexis Carrel(以下,本文ではカレルとする)と Peyton Rous(以下,ラウス)の経歴と業績を紹介し,彼等の培養細胞との係りについて述べる.