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内分泌療法再燃前立腺癌に対する HSV-tk 遺伝子発現アデノウイルスベクター及びガンシクロビルを用いた自殺遺伝子治療臨床研究

那須 保友 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 泌尿器病態学 Kaken ID publons researchmap
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発行日
2008-08-01
抄録
「前立腺癌に対する herpes simplex virus-thymidine kinase遺伝子発現アデノウイルスベクター及びガンシクロビルを用いた遺伝子治療臨床研究」を実施した.対象となる被験者は内分泌療法中に再燃してきた臨床的に遠隔転移を認めない局所再燃前立腺癌とした.まず herpes simplex virus-thymidine kinase(HSV-tk)遺伝子発現アデノウイルスベクターを単独で腫瘍内に直接投与し,その後ガンシクロビル(ganciclovir:GCV)を全身投与した.  本研究は2001年3月より第1例目の被験者の治療を開始し,平成17年7月に最終登録例である9例目の被験者の治療を実施し,6ヶ月以上観察し,臨床試験を終了とした(8名のべ9症例).  9症例すべてにおいて有意な副作用を認めなかった.また,ウイルスベクター投与後の抗アデノウイルス中和抗体価の上昇は軽度でかつ一過性であった.ウイルスベクター投与後,48時間において採取した組織において mRNA レベルでの HSV-tk 遺伝子の発現が確認された.治療効果の指標として腫瘍マーカーである PSA は9例中6例において低下した.  結論として局所再燃前立腺癌に対し,HSV-tk 遺伝子発現アデノウイルスベクターを単独で局所内投与し,その後ガンシクロビルを全身投与することの安全性および治療効果が確認された.
キーワード
前立腺癌
遺伝子治療
アデノウイルスベクター
備考
平成19年度岡山医学会賞(林原賞)受賞論文
ISSN
00301558
NCID
AN00032489