本稿は、行動分析学の視点から、高齢者のライフスタイルの構築と終末に関する有用な知見を提供することを目的とする。このテーマは、
(1)スキナーの幸福観の概要と高齢者への適用
(2)選択機会と高齢者の行動的QOL
(3)複数の行動のまとまりから構成される「活動」概念に基づいて、より巨視的な観点から高齢者のライフスタイルの構築を考える
(4)終末期における不安や恐怖への対処
という4つの観点から総合的に検討する必要があると考えるが、本稿では紙幅の制限により、(2)についてはすでに長谷川(2012, 2013)で論じているのでここでは省略し、また(1)と(4)は概略を述べるにとどめ、新しい概念を取り入れた(3)について重点的に取り上げていくことにしたい。