日常生活で杖をついたり,老人車などを押したりなど歩行能力の低下した人に対する簡便・安価で効果的な歩行訓練方法,訓練機器はない。歩行能力の低下した人が体の移動を伴う歩行訓練をする場合,常に転倒の危険性を伴うために,介護者が必要であったり,転倒の不安のために動作が消極的になり,訓練の効果が半減する。これに対して,ゆっくりとした足踏みは歩行能力の低下した人に対しては下肢筋力の強化,バランス訓練となり,歩行能力を向上させる。しかし,足踏みが適切におこなわれているか,訓練の効果の程度についての評価ができなかった。そこで,歩行能力の評価・訓練のために足踏み状態をモニタすることができる足踏み測定器を開発した。本装置は,足踏みをするマット2枚およびノートパソコンなどから構成されている。足踏み中における両脚立脚,左右それぞれの片脚遊脚の状態をマットスイッチのON,OFF状態にて判断する。測定後,歩数,平均両脚立脚時間,平均片肺立脚時間などの解析・表示を行う。最後に歩行能力が低下した被験者の足踏みを測定して,杖歩行など日常の歩行状態と足踏みの状態との関係を示し,足踏み測定の有効性についても検討した。