側頭葉てんかんでは,てんかん焦点に一致してMRI T2高信号領域が見られ,FLAIR法でこれがより明瞭になるが,このMRI所見と病理組織学的変化との関係は必ずしもはっきりしていない。そこで,Sprague-Dawleyラットにカイニン酸(KA)でけいれん発作重積状態を起こし,経時的にMRIを記録するとともに,ニッスル染色,GFAP免疫染色での病理組織学的変化を調べて両者の関係について検討した。KA群では,MRIで1~8週間後のいずれにおいてもpiriform cortexからentorhinal cortexにかけて不整形のT2高信号領域がみられたが,stage3のけいれん発作しか出現しなかったラットではstage4,5が出現したラットに比べて程度が弱かった。組織学的には,CA1,subiculum,piriform cortex,entorhinal cortexで神経細胞の消失,濃染細胞の増加と萎縮,GFAP免疫反応の増強が見られたが,piriform cortex,entorhinal cortexでの神経細胞消失の程度はT2信
号の程度と相関せず,GFAP免疫反応が増強した領域に一致して高信号がみられた。しかし,海馬のGFAP免疫反応増強はMRI所見に反映されず,これはMRIの解像度の限界にもよると考えられた。