近年、入園などに伴う子どもの移行期が注目され、新しい環境への適応とその支援は、保育・教育現場の重要な課題となっている。幼稚園等は、幼児同士が初めて集団生活を経験する場としての役割を担い、園に適応し安定した生活を送ることは、その後の1人1人の発達の基盤となる。そこで本論では、幼児の園への適応支援の在り方を検討するために、まず、幼児期における適応の定義を明確化することを試みた。また、保育・教育領域における適応を捉える視点を整理した。次に、これらを踏まえ、幼児の園への適応支援における保育者の役割を中心に検討を加えた。さらに、現行の『幼稚園教育要領』等における適応に関する記述を確認した。その結果、幼児の園への適応の中核は「幼児の心理的な安定」と「幼児と環境との適切な関係構築」と捉えることができ、その支援に関わる保育者の役割が明示された。最後に、研究方法の課題等を整理し、今後の研究展望を示した。
幼児 (young children)
園への適応 (adjustment to the kindergarten and the facilitation)
保育者の役割 (the role of the kindergarten teacher)
心理的安定 (psychological stability)
関係構築 (the interaction between the children and the new environment)