Bulletin of Center for Teacher Education and Development, Okayama University (ISSN 2186-1323)
Published by Center for Teacher Education and Development, Okayama University

障害のある子どもの教育内容の決定過程における親の過失を認定した裁判事例 : Horen v. Toledo School District の検討

吉利 宗久 岡山大学大学院教育学研究科 ORCID Kaken ID publons researchmap
高橋 彩 岡山大学大学院教育学研究科
影山 瑞歩 岡山大学大学院教育学研究科
発行日
2015-03-06
抄録
 アメリカ合衆国においては,障害者教育改善法(IDEA)に基づいて,障害のある子どもの教育的な決定に関 する親の参加が保障されている。一方で,その具体的な運用にあたっては,親と学校との対立が生み出されており, 訴訟に発展するケースもみられている。本稿は,IDEA によって保護されている親の権利をめぐって,親の過失 を認定したオハイオ州北部地区連邦地方裁判所による判決(Horen v. Toledo School District., 113 LPR 48072 (N.D. Ohio 2013))を中心にとりあげ,とくに個別教育計画の立案ミーティングにおける親の参加の観点から,対立の 構造と論点を整理した。連邦地方裁判所は親と学校区とのやりとりの分析から,「これ以上露骨な参加の拒否は 容易に想像できない」と述べ,学校区からの働きかけに対して「やめてくれ」と拒絶した親の責任を全面的に認 定した。最後に,本裁判の結果をふまえ,今後における親と学校との協力体制の重要性を指摘した。
キーワード
障害者教育改善法
親の参加
個別教育計画
適正手続き
無償で適切な公教育
備考
原著
ISSN
2186-1323
NAID
JaLCDOI