Bulletin of Institute for Education and Student Services, Okayama University


Published by 岡山大学全学教育・学生支援機構

ISSN 2432-9665

1905年刊『韓語教科書』の韓国語について

陳 南澤 岡山大学全学教育・ 学生支援機構
発行日
2017-12-30
抄録
 本稿では20世紀初めに日本人のための朝鮮語学習書および韓国人のための日本語学習書として金島苔水と廣野韓山により刊行された『韓語敎科書』(1905年)について、韓国語の単語と文およびその仮名音注を分析し、本書に現れる20世紀初めの韓国語の特徴(音注・語彙・助詞・語尾)を概観する。著者の金島苔水は1900年代から1930年代にかけて朝鮮語と中国語の学習書を多数出版しているが、内容の充実度や正確さより商業出版物の性格が重要視されているといわれる。それゆえ本書のハングル表記には多くの誤記がみられる。また、李斗璜(1858年~1916年)が金島苔水の一部の著述に関わったことも分かる。本書には開化期の口語的な特徴がよく反映されており、開化期の商業関連用語も多く現れる。今後、金島苔水の他の著作を総合的に考察し、明治期の他の朝鮮語学習書や韓国人のための日本語学習書を考察することで、現代韓国語の形成過程をより明らかにできると期待される。
キーワード
韓国語
開化期
韓語敎科書
朝鮮語学習書
ISSN
2432-9665
NAID
JaLCDOI