岡山大学大学院教育学研究科研究集録
Published by 岡山大学大学院教育学研究科

ISSN 1883-2423

伝杉原宗伊筆「正徹詠草切」をめぐって

稲田 利徳 岡山大学
発行日
1991
抄録
平成二年五月、「和歌史研究会会報」(第九十七号)に、梅沢記念館所蔵の古筆手鑑『あけぼの』収載の正徹詠草の古筆切に関し、「伝宗伊筆『正徹詠草切』について」という拙稿を公表した。その検討結果、この詠草切五首のうち、三首は家集「草根集」に見出されるが、他の二首は正徹の新出和歌と認定してよいこと、また、これは正徹が永享五年(一四三三)、あるいはそれに近い頃に詠出していた、独吟詠歌の手控え的な詠草の断簡の可能性が強いことなどを提示し、ただ、もとの詠草がどの程度まとまった資料であったかの想定は難しいことも申し添えておいた。その後、この拙稿を目にとめられた、田中登、杉谷寿郎の両氏から、相次いで先の詠草切のつれと思われる古筆切のコピーを数葉送っていただいた。長年にわたり、古筆切の収集、検討を持続されている、田中、杉谷両氏からの資料提供は、まことにありがたく、先の「あけぼの」収載の一葉も含め、伝杉原宗伊筆の「正徹詠草切」に関し、ここに改めて再検討を加えてみたい。
ISSN
0471-4008
NCID
AN00032875
NAID
JaLCDOI