本誌四二号では韻文指導法の序説として、国語教室や現代社会における韻文の享受状況と問題点、韻文と散文の本質的な相違点、韻文教材を指導する目的と意義などを概説し、さらに四五号では、近代詩の指導法として、「現代国語」の採録詩の傾向と問題点をおさえ、詩の指導法やその留意点に触れてきた。本稿ではこのⅠⅡを受継して、近代短歌の指導の一端を述べてみたいが、短歌そのものの享受状況などに関しては、すでにⅠの序説に述べたので、ここでは省略し、主として教科書の採録歌の傾向と問題点および短歌の特質に即応した指導法や諸々の工夫などに関して縷述してゆく方針である。