本稿の目的は,高齢者が取り結んでいる友人関係のどのような側面が主観的幸福感に影響
を及ぼすかを明らかにすることである。地方小都市である香川県さぬき市で老人大学の受講
生を対象にサーベイ調査を2012 年に実施した。この調査データの分析によって,次の2点
を明らかにした。(1)サポートの授受を伴う友人関係ではなく,交遊する友人関係が高齢者の
主観的幸福感に影響を及ぼしていた。そして,交遊する友人関係を多く取り結んでいる高齢
者ほど,高い主観的幸福感をもっていた。(2)交遊する友人関係のなかでは,年賀状の交換を
する友人関係,お茶を飲んだり食事をしたりする友人関係が高齢者の主観的幸福感に影響を
及ぼしていた。そして,年賀状の交換をする友人関係,お茶を飲んだり食事をしたりする友
人関係を多く取り結んでいる高齢者ほど,高い主観的幸福感をもっていた。