歌唱と心技体のバランスの関係について,学生を対象に実施したメンタルトレーニングを取り入れた7日間の練習の間に行ったアンケート調査結果の分析をもとに考察した。その結果,以下の傾向が見られた。①全体的に,演奏本番に向かって,心技体のバランスを取り,良い状態にしていこうとする傾向にあること,②心技体のバランスがとれていない学生は,マイナス面の分野を大きく改善しようとする傾向にあること。③演奏経験の長い学年は,経験の短い学生に比べて,心技体の中ではメンタル面の数値が一番高く,常に気持ちをアップさせて技術面を伸ばそうとする傾向があること。よって,演奏経験の少ないものや歌唱に苦手意識がある学生に対して,心身のリラックスを促し,自信を持たせることが演奏能力向上に有効であり,演奏経験のある学生にとっても,技術面の伸張に繋がることが示唆された。