ドイツの学習障害児からオーストリアの学習困難児に焦点を移し,物理教育の現状分析を
行った。初等教育段階では健常/学習障害/困難児に拘わらず,教科・分野などの枠を持っ
た物理教育は設定されていない。前期中等教育段階では,ドイツの学習障害児は,健常児と
違って,理科の枠内で分散的に,オーストリアの学習困難児は,健常児と同じで,物理の枠
内で,集中的に健常児より少ない時数で教えられている。ドイツでは,特別支援学校用目録
から,オーストリアでは健常児用に準備された目録から,教科書を選ぶことになっている。
学習困難児のための書き込み式,自分で作る新構想の物理教科書は,ドイツの学習障害児用
新理科教科書とは違って原子物理(放射能)が扱われていることで違っており,学習障害児
用旧物理教科書と同じように,気象(天気),飛行が扱われている。