本稿は研究集録147号掲載の「スポーツ哲学の先駆者たち」に続く内容であり,筆者のスポー
ツ哲学に関する研究計画の一部に位置づけられる。本稿も前稿と同様にスポーツを哲学的に
解釈した人物の言説を,H. レンクとの関係を視野に入れつつ論じる。それは,E. ヘリゲル,
H. スラッシャー,P. ワイスである。レンクは「武道」それ自体の分析に関心を寄せていた
訳ではないが,達成概念と禅哲学を比較する点に関心を寄せている。スラッシャーについて
は,スポーツの実存主義的解釈の一面生と曖昧さの点から批判される。ワイスとはスポーツ
を哲学の対象とする事への問題意識を共有していた点が指摘できる。