学校教育における合唱活動を活性化させるためには,合唱芸術の原点に立ち戻り,根幹となる「和声感」についていま一度検討を加える必要がある。そこで,「和声感」に着目し,日本の学校教育へ導入可能な,和声感の育成が取り入れられた練習方法について検討した。その結果,和音の構成音の持っている倍音や結合音の性質や特徴を認識し,その知識を活かした音程練習を合唱練習に取り入れることで,演奏者の耳が鍛えられ,さらにこの練習が,正確な音程から生まれる合唱の調和感覚,色彩感や広がりが感じられる合唱づくりの基礎になりうることがわかった。