本稿では、ビュイッソンの公教育思想を検討する基礎的作業の一環として、1886年および1889年の二つの論考を素材に、彼が1880年代教育改革をどのようにとらえ、また一般に説明しようとしていたかという点を検討した。その結果、(1)1880年代教育改革をフランス革命の理念の実現ととらえたこと、(2)とくに教育の世俗化の進展を重視し強く説明していたこと、(3)改革の実質的推進主体を教員とし、80年代教育改革は教員の資質向上のための条件整備を行うとともに、「教育的使命」を抱かせようとするものであった点を強調して説明していたことなどの特徴をあきらかにした。