近年の特殊教育をめぐる状況の変化に伴い,通常学級に在籍しながら教育を受ける子どもへの特別な教育的対応が求められるようになってきた。しかし,学習障害,注意欠陥/多動性障害,高機能自閉症など軽度発達障害の実態は未だ十分には把握されていない。そこで,本稿ではこれらの障害の診断上の指標策定や特別支援法の確立に資する目的で,当該領域の最新の研究成果を概説した。その結果,個別支援計画作成の際に役立つと思われる研究成果が多く認められた。また, LDや自閉症では側性化の評価が, AD/HDではDoparnine transporterの測定などが診断上の手がかりとして注目され,臨床応用に向けた今後の研究が期待される。