地方小都市である岡山県高梁市で65歳以上80歳未満の高齢女性を対象に1997年から1998年にかけて調査をおこなった。本稿では,重回帰分析によってそのデータを分析し,収入が高齢女性のパーソナル・ネットワークに与える影響を分析した。そして,次の3点を明らかにした。①収入が高い高齢女性ほど多くの親族関係と友人関係を組織し,家族の外で多くの社会関係を保持していた。しかし,収入は近隣関係数に影響を及ぽしてはいなかった。②居住場所は栽族関係数と近隣関係数に有意な影響を及ぽしていたけれど,友人関係数には影響を与えてはいなかった。これは,フィッシャーの下位文化理論が地方小都市に住む高齢女性の友人関係には妥当しないことを示唆している。③収入は,家族外の社会関係総数に最も強い影響力を持っていた。