JaLCDOI 10.18926/66636
FullText URL oupc_021_015.pdf
Author 安藤 美華代|
Abstract キャリアのある医療従事者は,多様な課題を抱え職場適応に困難を感じ,職場定着しづらい場合があるものの,組織的な支援については,ほとんど検討されていない。そこで本研究では,キャリアのある新任医療従事者へ心理教育“サクセスフル・セルフ”を活用した研修を行い,本取り組みの意義等について検討することを目的とした。対象は,A 医療機関に採用されたキャリアのある新任職員のうち,本研修会に全回参加した14名である。研修会に関するプロセス評価分析を行った結果,各セッションおよび研修全体における本研修の目標到達度もしくは役立ち度および感想が示され,研修1回目から2回目の質問において同僚の輪にうまく入る,困難に打ち勝つ自己効力感,他者との関係性に関する自己効力感の肯定的変化が見られた。以上より,本研修会の有用性が示唆された。
Keywords 新任医療従事者 こころの健康 心理教育 サクセスフル・セルフ
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2023-12-25
Volume volume21
Start Page 15
End Page 23
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66635
FullText URL oupc_021_007.pdf
Author 原 実穂| 東條 光彦|
Abstract  貧困や虐待など,子どもを取り巻く危機状況の課題の一つに,「当事者自身が置かれている状況を問題として認識していない」ことが挙げられる。そこで本研究では,児童生徒の危機と,児童生徒の危機への認知能力について教職員がどのように評価しているか調査した。その結果,教職員の視点から「危機や課題を児童生徒自身が認識できている」と判断されるのは半数以下にとどまっていることが明らかとなった(研究Ⅰ)。さらにそれを踏まえ,認知的発達が十分ではないと推測される小学生を対象に,貧困などの「不利益場面」をどの程度認知できるか架空事例を用いて検討したところ,低学年ほど危機について正しい認識ができていないこと,危機察知が低い傾向にある児童は,他者へ援助を求めることの必要性を感じにくいことが示唆された(研究Ⅱ)。
Keywords 心理・社会的危機 援助要請志向性 危機認知 早期発見 架空事例
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2023-12-25
Volume volume21
Start Page 7
End Page 13
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66634
FullText URL oupc_021_001.pdf
Author 塚本 千秋|
Abstract  よい臨床家とはどのような臨床家だろうか。2023年夏,当大学院の修了生たちに講話を依頼されたので,その機会をとらえて,よい臨床家について考えてみた。考える素材を得るために,最近,関心を集めている生成型人工知能ChatGPTに「よい臨床家とはどのような臨床家か」という問いを投げかけたところ,間違いとはいえないが,とても違和感の強い回答を得た。本稿では,その違和感に焦点を当てながら,筆者の考える“よい臨床家”を紹介したい。
Keywords 臨床家 ChatGPT 臨床家の良し悪し 臨床家の成長
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2023-12-25
Volume volume21
Start Page 1
End Page 6
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66633
FullText URL oupc_020_031.pdf
Author 稲月 聡子|
Abstract  本稿では,筆者が行ってきた私立幼稚園における発達相談の実践について改めて振り返り,保育心理臨床において心理職の果たす役割について整理・検討を行った。また,幼保小連携をふまえた今後の活動の方向性についても検討した。
Keywords 子育て支援 保育心理臨床 幼小連携
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2022-12-25
Volume volume20
Start Page 31
End Page 35
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66632
FullText URL oupc_020_017.pdf
Author 塚本 千秋|
Abstract  心理職を志す学生に精神医学を教えることは,自明なことのように思える。しかし,精神医学は世間の人が想像するほど安定した学問ではなく,またその実践としての精神科臨床も,定式化されているとは言えない。これを教育という視点で考えると,教える人間が「学問として流動的」「実践には疑問も多い」などと言えば,すでにこの領域に関心を持っている学生には有益かもしれないが,それほどでもない学生は不安を抱くだろう。「それなら,最低限たしかなことだけ教えればよい」と読者は思うだろうが,それができるなら苦労はしない。本稿では,これまで筆者が実践してきた講義の概要を紹介しながら,筆者の課題意識を検討する。
Keywords 心理職養成 臨床心理士 公認心理師 精神医学教育
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2022-12-25
Volume volume20
Start Page 17
End Page 21
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66631
FullText URL oupc_020_001.pdf
Author 上地 雄一郎|
Abstract  本研究では,マインドフルネスを測定するために開発された「サザンプトン・マインドフルネス質問票Southampton Mindfulness Questionnaire:SMQ」の日本語版(SMQJ)を作成し,初段階の信頼性と妥当性の検討を行った。SMQJを構成する16項目のα係数はα=.73で,まずまずの信頼性が得られた。SMQJと日本語版MAASとの相関係数はr=.27と,有意ではあるが低く,これはMAASが測定する傾向とSMQJが測定するものとの相違による結果だと思われた。SMQJと,Galexで測定されるアレキシサイミアとの相関については,SMQJと「体感・感情の認識不全」がr=.30の有意な相関を示したが,「空想・省察の不全」とは無相関であった。また,SMQJの因子分析の結果,2因子が抽出されたが,この因子分析によってSMQJの項目の1つについて日本語訳を修正する必要性が示唆された。
Keywords サザンプトン・マイドフルネス質問票 日本語版 信頼性 妥当性
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2022-12-25
Volume volume20
Start Page 1
End Page 8
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66630
FullText URL oupc_018_007.pdf
Author 新庄 加奈| 東條 光彦|
Abstract  本研究では,教育実習生における感情労働の継時変化を把握するとともに,それが精神的疲労感とどのように関連しているかについて明らかにすることを目的とした。教育実習生140名を対象とし,実習1週、4週の終期に感情労働とPOMSによる精神的疲労感の測定を行った。その結果、感情労働は「指導的感情表出」において上昇し,POMS得点では,いずれの下位尺度でも得点の低下を示した。また,POMS得点と感情労働の関係では,「自己感情表出の操作」が2回の調査を通じ,一貫してPOMS得点に影響していた。これらをうけ,実習生の感情労働の獲得,その心理的役割についての教育の必要性について検討が行われた。
Keywords 感情労働 精神的疲労 POMS 教育実習生
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2020-12-25
Volume volume18
Start Page 7
End Page 13
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66629
FullText URL oupc_017_007.pdf
Author 桑原 晴子|
Abstract  幼児の異文化適応のプロセスに焦点を当てた心理臨床学的研究はほとんど見当たらないが,グローバル社会における幼児の異文化適応における心理支援を考える上では,検討が必要である。本研究では事例研究法を用い, 1人の幼児の異文化適応のプロセスを意識の発達という視点から検討を行った。その結果,集団の意識と個の意識という対極的な意識を統合し,また国や民族といった表層の差異を越えた,人間としての普遍性の次元でつながりを確立することで,幼児の異文化適応が深化していると考えられた。また,その異文化適応の心理支援の際に配慮すべきことについて検討を行った。
Keywords 異文化適応 幼児 個の意識 集団の意識 普遍性の次元でのつながり
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2019-12-25
Volume volume17
Start Page 7
End Page 15
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66628
FullText URL oupc_016_037.pdf
Author 山下 明子| 上地 雄一郎|
Abstract  幼少期に安定した愛着が形成されなかった子どもは,さまざまな心の問題を抱える可能性がある。しかし,児童期の愛着についての知見はまだ浅く,愛着に問題を抱える子どもに対する適切な支援がなされているとは言い難い。そこで本研究では,BowlbyとAinsworthによる愛着の定義にできるだけ忠実に,児童期の安定型,アンビヴァレント型,回避型の愛着パターンを測定する質問紙尺度を作成することを目的とした。中・四国の小学校5校のうち、5~6年生に作成した質問紙を実施した。その結果、安定型、回避型、アンビヴァレント型の3因子が抽出された。その後の検討で、信頼性・妥当性が確認された。また、5つのクラスターからは、「回避ーアンビヴァレント型」の児童のリスクの高さが示された。
Keywords 愛着 質問紙尺度 児童用愛着パターン尺度
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2018-12-25
Volume volume16
Start Page 37
End Page 44
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66627
FullText URL oupc_016_027.pdf
Author 藩 艶麗| 上地 雄一郎|
Abstract 本研究では,メンタライジング能力を測定するために,対人葛藤場面についての「メンタライゼーション査定面接改訂版」 (Mentalization Assessment Interview-the Revised Version; MAI-R) を作成した。MAI-Rは高い内的整合性を有しており,2名の評定者の評定同士も高い相関を示した。また,MAI-Rの妥当性については,MAI-R総得点は,愛着回避とは低い負の相関を示した。そして,MCQ-30によって測定された「心配への注目」および「思考の制御」とは有意な正の相関を示した。共感との関連については,EESRで分類された共感の4タイプの間でMAI-Rの得点に有意差は認められなかった。つまり,MAI-Rは,高い内的整合性および評定者間信頼性を示したが,妥当性が充分に証明されたとは言えない。
Keywords メンタライジング能力 メンタライゼーション 対人葛藤
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2018-12-25
Volume volume16
Start Page 27
End Page 35
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66626
FullText URL oupc_016_009.pdf
Author 井上 亜希| 上地 雄一郎|
Abstract  本研究では,メンタライジング能力を簡便に測定するメンタライジング能力尺度を作成した。因子分析の結果,5因子27項目が抽出された。第5因子に負荷する項目群を除いて一応の内的整合性があることが確認された。因子ごとに不統ーな結果も見られ,下位尺度ごとに得点の高低の意味が異なり,ポジティブな意味とネガティブな意味の両方をもっていると思われる下位尺度もみられた。下位尺度のα係数が第1因子を除いて.80に達しておらず,第5因子は.62であることから,項目内容を再検討し,項目数を増やすことも必要であろう。さらに,回答方法を変更することも検討課題である。一部使用した尺度において明確な関連がみられなかったこともあり,新たな尺度や他の尺度との関連から妥当性を検討することも必要であると考えられた。
Keywords メンタライジング メンタライゼーション 質間紙尺度 愛着
Publication Title Bulletin of the Okayama University Psychological Clinic
Published Date 2018-12-25
Volume volume16
Start Page 9
End Page 16
ISSN 2758-6138
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66625
FullText URL oupc_015_035.pdf
Author 塚本 千秋|
Keywords 不祥事対策 校内研修 グループワーク 事例検討会 架空事例
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2017-12-25
Volume volume15
Start Page 35
End Page 40
ISSN 2185-5129
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66624
FullText URL oupc_015_015.pdf
Author 原 範幸|
Abstract  今、学校ではすべての子どもを対象にした生徒指導の一次的支援の必要性が高まっているが、そのための教師の指導力は十分ではない。そこで、生徒指導の一次的支援の必要性を理解した教師を養成することを目指して、教職経験者である筆者が、グループワークや協議を多く取り入れて大学で生徒指導論の講義を行った。その結果、毎回の授業後の受講生の感想や、大学が行った授業評価、筆者が行った振り返りアンケートでは、教職経験者がグループワークや協議を取り入れた生徒指導論の講義を行うことは、受講生が生徒指導の一次的支援の必要性を学ぶことに一定の効果があることが示された。さらに、受講生は講義を受けることで「教師なる覚悟を持つ」「教師のロールモデルを学ぶ」「同僚性の大切さを学ぶ」「自分と向き合いながら教職を考える」ことが示唆された。
Keywords 生徒指導の一次的支援 グループワーク コミュニケーション能力 実践力
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2017-12-25
Volume volume15
Start Page 15
End Page 24
ISSN 2185-5129
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66623
FullText URL oupc_015_009.pdf
Author 井上 尚子| 橋口 朋枝| 東條 光彦|
Abstract  初任期教員における主観的疲労感の継時的変化を評価するため,採用1年目から2年目にかけ,小中学校教員173 名について3回の調査を行った。その結果、いずれの時期においても,長時間にわたる労働時間,短い時間が報告されるとともに, 一般労働者を高率で上回る疲労感が観察された。今後は,社会資源,個人内資源との関連について言及していくことが望まれた。
Keywords 初任期教員 主観的疲労感 継時変化
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2017-12-25
Volume volume15
Start Page 9
End Page 14
ISSN 2185-5129
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66622
FullText URL oupc_014_047.pdf
Author 塚本 千秋|
Keywords 不祥事対策 猥褻行為 臨床倫理 倫理綱領
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2016-12-25
Volume volume14
Start Page 47
End Page 51
ISSN 2185-5129
language Japanese
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JaLCDOI 10.18926/66621
FullText URL oupc_014_037.pdf
Author 谷口 純代| 上地 雄一郎|
Abstract 本研究では,抑うつに焦点を合わせたメタ認知を測定するためのメタ認知的自覚質問票を作成した。主成分分析の結果,先行研究である, Teasdale et al. (1995) のMetacognitive Awareness Questionnaire (MAQ) 同様,単主成分が抽出され,単主成分構造が妥当であると判断された。Cronbachのα係数を算出したところa=.72であった。また,各尺度間における相関係数を算出した結果,Metacognitive Questionnaire (MCQ) における「心配の制御不能性と危機に関するネガティブな信念」「心配についてのポジティブな信念」,「認知的自信の低さ」及び「思考制御の必要性」との間に正の相関,FFMQにおける「Nonjudging」と「Nonreacting」との間に負の相関がみられた。以上のことから,メタ認知的自覚質問票におけるある一定の信頼性及び妥当性が確認された。
Keywords メタ認知 メタ認知的自覚
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2016-12-25
Volume volume14
Start Page 37
End Page 46
ISSN 2185-5129
language Japanese
File Version publisher
JaLCDOI 10.18926/66620
FullText URL oupc_014_021.pdf
Author 神崎 あかね| 東條 光彦|
Abstract ストレス反応は,個人の抵抗資源によって発現の程度が異なる。本研究では,対人場面におけるメタ認知能力と生来的傾向とも言える楽観性-悲観性を媒介するモデルを想定し,ストレス反応への影響を検討した。その結果,ストレス反応、とりわけ情動反応に至る過程で,ストレス反応が低い個人においてより対人的メタ認知による影響性が強いことが示された。
Keywords 対人的メタ認知 楽観性 悲観性 ストレス反応
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2016-12-25
Volume volume14
Start Page 21
End Page 25
ISSN 2185-5129
language Japanese
File Version publisher
JaLCDOI 10.18926/66619
FullText URL oupc_014_013.pdf
Author 原 範幸|
Abstract  学力向上と不登校の減少のために、コミュニケーション活動、協同学習、SEL(社会性と情動の学習)、ピア・サポート、品格教育に段階的に取り組み、標準学力検査、不登校出現率、生徒へのアンケート、生徒へのインタビュー、教師の観察で成果を確かめ、課題の改善が見られた。特に生徒の実態に合わせて工夫したコミュニケーション活動を継続的して行ったことは、取組全体の成果をあげることに効果があったことが示唆された。また、各取組を担当するミドルリーダーが先行実践をそのまま取り入れるのではなく、学校の状況に応じて工夫した内容にしたこともこれらの取組が効果をあげることが出来た要因の一つであろう。さらに、エ夫したことにより担当者が当事者意識を持って取り組んだことも効果を上げることにつながったように思われる。
Keywords コミュニケーション活動 協同学習 SEL 工夫した内容
Publication Title Bulletin of the Counseling Clinic, Okayama University
Published Date 2016-12-25
Volume volume14
Start Page 13
End Page 19
ISSN 2185-5129
language Japanese
File Version publisher
JaLCDOI 10.18926/66606
FullText URL oupc_009_015.pdf
Author 桑原 晴子|
Abstract  乳がんは長期にわたって心身ともに危機をもたらす事態であり,その心理臨床学的援助のあり方が問われている。本論文では,乳がんの女性の心理的特徴と心理臨床学的援助に関する先行研究を概観し,現在の心理的支援の現状を踏まえたうえでその問題点について検討を行った。その中でイメージを用いた心理療法である表現療法がもつ意義を考察するとともに,乳がんを抱えた女性への心理臨床学的援助として表現療法のあり方を検討する研究の必要性を述べ,今後の課題を論じた。
Keywords 乳がん 心理臨床学的支援 イメージ 表現療法
Publication Title Bulletin of Shinri-Kyouiku Counseling Clinic at Okayama University
Published Date 2011-02-28
Volume volume9
Start Page 15
End Page 23
ISSN 2185-5129
language Japanese
File Version publisher
JaLCDOI 10.18926/66590
FullText URL oupc_003_037.pdf
Author 塚本 千秋|
Abstract  事例報告や事例研究において,各回のセッションをどのように記述するかは,初心の執筆者にとって悩みの種である。面接場面を活き活きと再現しようとすると,クライエントの発言を多く採録したくなり,1回分の記述が膨大になって,焦点がぼやけ,冗長な報告となってしまう。投稿規定に従って短くしようとすると,事実が列挙されるだけの無味乾燥な記述になったり,重要なやりとりが失われたりする。本稿では「論文の目的や考察内容から,面接での発言や現象を絞り込み,経過を要約する」という基本的な観点は棚上げし,あくまで「技術論」として各回のセッションを短くわかりやすく記述するにはどうすればよいか,実例を例示して論じた。
Keywords 事例研究 事例報告 抽象化 逆転移 論文執筆
Publication Title Bulletin of Shinri-Kyouiku Counseling Clinic at Okayama University
Published Date 2005-03-31
Volume volume3
Start Page 37
End Page 45
ISSN 2185-5129
language Japanese
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