岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019裏表紙・英文目次 ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019奥付ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019岡山大学教師教育開発センター紀要原稿執筆要領 ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019平成30年度 岡山大学教師教育開発センターの活動状況の概要 ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019大学生の人間関係力育成に関する研究の動向と保育者養成教育への活用に向けて337350ENYumiKatoMikayoAndo10.18926/CTED/56563 職務上の人間関係に困難を抱えやすい若手保育者の早期離職の問題が懸念されることから,保育者養成教育においても学生の人間関係力の育成が求められる。そこで,人間関係力を育む保育者養成教育について検討するため,大学生の人間関係力育成に関する国内の先行研究を概観した結果,人間関係力に関係する要素,人間関係力の育成に関するワーク等の内容や,保育者養成校も含めた大学における実践的な取り組み内容が明らかとなった。各大学においては,多様な形で人間関係力の育成に関する実践が行われており,特定の授業に限らず,科目間,教員間で連携を図りながら取り組まれた実践報告も見られた。まずは学生自身が人間関係力向上の必要性を感じ,自らの課題や目標の達成に向けて取り組めるよう意欲を高めていくことが大切であり,保育者養成校においては,問題(課題)を解決する力,自分の意見・考えを伝える力等の育成が課題であることが窺えた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019初学者に対する有効性の高い指導方法 : 英語授業とピアノ実技指導における「既知のもの」の活用をめぐって323335ENMasaruOginoYukoDate10.18926/CTED/56562 本稿では,大学における英語授業とピアノ実技指導における初学者の苦手意識の傾向を分析し,初学者の苦手意識をなくすための有効性の高い指導方法を検討する。英語学習における学生の苦手意識は,「英語ができない」という強い感情,徒労感,不安感,嫌悪感,無関心,英語を無理やり学習させられているという感情に集約される。このような苦手意識を除くために,学生がすでに学習している英語5文型を用いた簡単な「自由英作文」を行いながら,学生の英語学習の習慣の形成,および英語で表現することに対する関心の喚起を図っていくことを提案する。ピアノ実技指導における学生の苦手意識は,嫌悪感,拒否感,不安感・恐怖感,焦燥感,劣等感,孤独感,義務感,音楽表現との乖離に集約される。このような苦手意識を除くために,既知の曲の「変奏曲」を用いてピアノ実技指導をすることを提案する。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019幼保連携型認定こども園におけるカリキュラム・マネジメントに関する法的規定の内容と独自性309322ENRyotaroKonyaTomoyoshiYokomatsu10.18926/CTED/56561 2018年度から,わが国の幼保連携型認定こども園では,三つの側面をもつカリキュラム・マネジメントが導入されている。そこで本稿では,幼保連携型認定こども園におけるカリキュラム・マネジメントに関する法的規定の内容を整理したうえで,幼稚園及び保育所におけるカリキュラム・マネジメントに関する法的規定の内容と比較することで,その独自性を明らかにした。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019小学校理科における授業改善の試み : 学習指導を充実させるための展開例295307ENMitsuhiroYamasaki10.18926/CTED/56560 平成29年3月に公示された学習指導要領の理科は,問題解決の活動を充実し,日常生活や社会との関連を重視する方向で検討したとされているが,問題解決の活動を充実させるための具体的な方法は授業者に委ねられているという印象が強い。かねてより,小学校の理科の授業では,観察,実験を行うことが目的化され,形式的な問題解決になっているという指摘がある。経験の浅い教師や理科の学習指導に苦手意識を持つ教師にとって,授業改善を行うためには,その前提となる問題解決の過程を踏まえた授業を行うための課題を解決する必要がある。本稿では,第5学年「電流がつくる磁力」を基に,単元展開や1単位時間の授業の流れ等を授業者自身が考え,判断することを通して,理科の学習指導に必要な知識・技能,経験を蓄積していくための授業実践を支援できるよう作成,検討した資料を報告する。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019学際教育交流セミナーを振り返って : 岡山大学の「学部横断型」学際教育の試み283294ENEikoUshida10.18926/CTED/56559 近年、学問分野を融合し、学部や学科を超えた学びを目指す「学際教育」 (interdisciplinary education)を取り入れる大学が増えてきた。本稿では、学際教育的な新しいプログラムを持つ大学が互いに交流を進めてきた「学際教育交流セミナー」に参加した経験をもとに、岡山大学の学際教育の実践例を紹介する。筆者が参加した平成30年にはマッチングプログラム(MP)とMPを引き継いだグローバル・ディスカバリー・プログラムの「学部横断型」の学際教育が紹介された。学生の活動報告ではそのような自由で柔軟な教育の良さとともに、学際教育ならではの難しさも報告された。卒業生と在校生のアンケート結果からも履修形態と他学部との交流について同様の回答があり、学際教育の課題解決に向けての取り組みが必要とされることが明らかになった。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019学校・地域・親子をつなぐ「共に歌う」活動の実践(1)267281ENRinkoHayakawa10.18926/CTED/56558 本研究は,学校・地域・親子をつなぐ「共に歌う」活動としての「みんなで歌おう音楽会」の実践について,その意義と課題について検討することを目的とした。本稿では,特に,実践の経緯と概要を報告しつつ,あわせて,音楽会終演後に実施した参加者対象のアンケート調査を取り上げ考察した。その結果,本実践が,「共に歌うこと」の大切さと「日本文化としての唱歌や日本のうたの継承」の大切さについて,その一端を伝える機会になったことが明らかとなった。また,子育て支援の点からも機能していることが認められた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019初任期教員の疲労感に影響を及ぼす身体的・精神的要因と その継時変化259266ENMitsuhikoTojo10.18926/CTED/56557 本研究の目的は,初任期教員の疲労感が,物理的要因である勤務時間・睡眠時間と心理的要因である感情労働・理想と現実の教員像の差・レジリエンス・意味づけによって説明されるかについて検討することであった。2つの都市の初任教員を対象とし,複数回の調査を行ったところ,主観的疲労感には著明な変化は見られなかったものの,調査地域,時期によりその説明変数が変化していた。これらの結果から,初任期教員においては,その職能成長の過程にあって種々の経験を積みつつそれ自体がストレッサーとなり,疲労に関連していることが指摘された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019「大1コンフュージョン」の実際(第4報) : 大学2年目の学生を対象とした相談状況とその検討251257ENKosukeIketaniShinHarada10.18926/CTED/56556 本研究は,現状の支援体制が「大1コンフュージョン」等の解消や緩和にどの程度寄与できているのかについて検討することを目的とした。2018年12月に実施した調査では,大学生活が1年半以上経過した2年目の学生を対象に,「大1コンフュージョン」項目群と,既存の相談先,意欲低下領域尺度,単位取得状況を聞き,その相関について分析と考察を行った。この結果,単位取得に影響が少ない範囲で対処できている学生は,戸惑いや困難が生じた場合,友人や家族等を中心に相談し,援助要請をすることによって深刻な状況を回避していると推察された。また,「大1コンフュージョン」が継続している学生は,友人や家族を中心とした援助を得ながらどうにか必要な単位取得は進められている場合であっても,大学や学業に対する意欲が低下する状況になっていると考えられた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019「大1コンフュージョン」の実際(第3報) : ライフスキル,意欲低下,心理的ストレス反応との関連243250ENShinHaradaKosukeIketani10.18926/CTED/56555 本研究では,大1コンフュージョンに陥りやすい大学新入生の様々な特徴について調べることを目的に,日常生活スキル尺度(大学生版),意欲低下領域尺度,心理的ストレス反応尺度との関連について検討した。相関分析の結果,大1コンフュージョン(大学生活全般)は,8種類のライフスキルおよび「学業意欲低下」とはほぼ無関連であったが,「授業意欲低下」,「大学意欲低下」および3種類のストレス反応とは中程度の正の相関がみられた。また大1コンフュージョン(一人暮らし)は,8種類のライフスキルおよび「学業意欲低下」,「大学意欲低下」,「不機嫌・怒り」とはほぼ無関連であったが,「授業意欲低下」,「抑うつ・不安」,「無気力」とは弱い正の相関がみられた。今後,スケジュール管理スキルや援助要請スキル等,今回測定できていないが大学適応に重要と考えられるライフスキルと,大1コンフュージョンとの関連についても検討を行う必要がある。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019小学3年生を対象としたピア・サポートトレーニングの効果の検討 : 協同学習のための下地づくりをめざして229242ENMotokoMiyakeYoshihiroOkazaki10.18926/CTED/56554 本研究では,学校ぐるみで協同学習の取り組みを進めている小学校の3年生児童を対象として,協同学習の下地づくりを行うことをめざしたピア・サポートトレーニングを実施し,聞き方スキル,援助要請行動,サポート入手可能性,サポート提供可能性,攻撃性の観点からその効果を検討することを目的としていた。トレーニングの前後とフォローアップの3時点での効果測定について分析を行った結果,サポート入手可能性においてはトレーニングの効果を示唆する変化がみられた。一方,攻撃性においては,トレーニングによって攻撃性が上昇していることが示され,トレーニングに参加した児童について,イライラ感情や攻撃性への気づきを高めることはできたものの,対処方法の習得,活用,定着までには至らなかったと解釈された。トレーニングの回数,実施期間,およびトレーニング内容の般化に関して改善することで,より明確な効果が得られると考えられる。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019幼児を対象とした集団における絵本の読み聞かせに関する研究動向215228ENNoharaAizawaMikaKatayamaToshiyukiTakahashi10.18926/CTED/56553 本研究では,日常の保育で頻繁に行われる,集団での絵本の読み聞かせに関する実践的な研究を概観し,充実した絵本の読み聞かせのあり方に関する知見の整理を試みた。その結果,絵本の読み聞かせ場面における幼児の言動は年齢に沿って変化し,4歳児から5歳児に至る過程において,集団という特徴が活かされるようになることが明らかになった。
3歳児では,保育者と幼児の個別の関係性が優位であったが,4歳児では徐々に幼児間の相互作用が広がり,他児の発話を繰り返したり,幼児と笑い合ったり等,他児を意識し,一緒に楽しむ共有化が進む。さらに,5歳児になると友達と共に内容の展開を楽しみながら,集団での読み聞かせのマナーを心得た態度を示しつつ,個別の言動の表出を調整する姿が見られるようになることが示された。質の高い読み聞かせにより,幼児の確かな言葉の発達を促す機会に成り得ることが確認された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019教職大学院における教育のアウトカムの現状と評価のあり方に関する考察199213ENAtushiMuramatsuYasuyoshiImaiFumihikoMoriyasu10.18926/CTED/56552 本稿は、平成29年3月までに修了生を送り出した国立教職大学院を対象に、教育のアウトカムについて、その現状と評価のあり方を明らかにすることを目的とする。そのため、アウトカムの根拠として一般的な定員充足率と教員就職率による評価を再考するとともに、この数値の妥当性を検討した結果、これらは十分な根拠とはならないことが明らかになった。そこで、教育委員会が学生の学修成果を評価した2年次生の教員採用試験の合格率(「追加合格率」)や、教育委員会や学校関係者が学生の学修成果を評価する場である報告会等への「外部参加率」による評価指標を導入することで、学生や学校・教育委員会といった社会との好循環につなげることを提案する。また、このような評価が機能する前提として、社会のニーズを考慮した上で、教職大学院間で育成しようとする資質能力を「チューニング」することを提案する。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019ESD的視点の育成を意識した気候と文化理解教育との連携 : 北欧の気候と季節感を例とする大学での授業実践の報告183198ENKuranoshinKatoHarukoKatoRikakoAkagiKazuoOtani10.18926/CTED/56551 ESD的視点を育むための学際的な指導法開発へ向けて,北欧の夏の気候と季節サイクルを中心に日々の気温の変動幅にも注目した気候背景を解析するとともに,大学での授業実践結果を分析した。北欧の冬には,平均気温だけでなく極端な低温日の気温もドイツより更に低く,極端な低温日は4月初め頃まで出現する。また,夏至〜7月一杯までが気温のピークで,その後は急降温する。授業では,絵画作品の鑑賞や,伝統的な季節の行事やくらしについての映像の視聴,伝承曲の鑑賞を行ない,夏至祭をテーマとする音楽や美術の表現活動を行った。音楽の創作活動では小物の打楽器類などを用いた。表現活動を通して,季節の特徴や移り変わり,人々の生活,気持ちなどへの自分の注目点を意識することにより,そこに住む人々の季節感と自分の感じ方とに繋がりを得る機会になったと考えられる。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019地域との連携に基づく食育プログラムの開発研究 : 小学校「総合的な学習の時間」における単元開発を事例として167181ENNagisaYamadaShinjuYamadaToshinoriKuwabara10.18926/CTED/56550 本研究は,地域との連携を重視し,連携の成果を取り入れながら小学校の「総合的な学習の時間」における食育のプログラム開発を行おうとするものである。平成17年に食育基本法が制定され,平成20年改訂の学習指導要領総則においては,学校における食育の推進が盛り込まれた。さらには,関連する各教科等でも食育に関する記述が充実するなど,食育の取り組みは活発化していると言える。食育は,その内容が広範囲に及ぶことから教科の学習としては十分に扱いきれず,横断的・総合的に取り扱う必要がある。本研究では,平成29年に改訂された学習指導要領の「総合的な学習の時間」の趣旨をふまえて,小学校において食育を効果的に展開するための単元開発に取り組んだ。単元開発にあたっては地域との連携を重視し,教材研究の中で取り組んだフィールドワークの成果を教材化し,地域とのつながりを実感できるプログラムを目指した。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019特別支援学校における自傷行動を示す自閉症スペクトラム障害児へのPositive Behavior Support(PBS)に基づく実践自傷行動の低減と朝の会への参加を目指した取り組み151165ENYumikoOnishiTakayukiTanji10.18926/CTED/56549 本研究は,知的障害を対象とする特別支援学校において,激しい自傷行動を示す自閉症スペクトラム障害の児童に対してPBSに基づく実践を行い,自傷行動の低減と朝の会参加行動の形成を試みた。機能アセスメントから,対象児が床や机に頭を打ち付けたり拳で頭を叩いたりする自傷行動には,教師の指示や要求から逃避する機能,不安や緊張の低減を図る機能があると仮定した。そこで,①緊張や不安なく取り組める朝の会参加行動の形成,②頭打ちや頭叩きによって得られる感覚刺激の代わりとなる刺激の用意,③頭打ちや頭叩きの予防を図る先行事象操作,④朝の会参加行動の生起を支える結果事象の操作,を基本方針として介入を行った。結果,自傷行動は減少し,朝の会の参加行動が増加した。最後に,対象児に対する本取り組みの効果と,本実践に参加した教師の意識変容を考察した。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019定時制高校における発達障害の疑われる不登校経験生徒に対する組織的な支援の実際135149ENBingyanZhaoMunehisaYoshitoshi10.18926/CTED/56548 本研究では,定時制高校における発達障害の疑われる不登校経験生徒に対する組織的な支援の実際と実践的課題を捉えるために,フォーカスグループインタビューを用いた面接調査を行った。入学前,在学中,進路決定時に関する時期区分を設定した上で,支援の内容を分析した。その結果,対象校では発達障害を生徒の個性と理解し,不登校に関する指導において発達障害の特性に特化した特別な支援は行っていなかった。ただし,生徒の社会的自立と自己肯定感の向上を目指し,個人差を認めた上で,授業場面などを活用した個別支援を行っていた。また,学校外における福祉機関や特別支援学校との連携を展開するなかで,不登校支援に結びつけた取り組みを試みていた。定時制高校は,多様な支援ニーズをもつ生徒を受け入れており,幅広い支援体制の構築が必要とされている実態を明らかにした。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019クリエイティブ・ラーニング・スパイラルに基づいた紹介動画の制作が子どもの創造性と情報モラルに与える効果125133ENYoshihiroOkazakiMotokoMiyake10.18926/CTED/56547 クリエイティブ・ラーニング・スパイラルに基づいたワークショップが子どもの創造性・情報モラルに与える効果について検討した。ワークショップに参加する群 (介入群) とゲームで遊ぶ群(統制群) の2群間で比較した結果,アイデアの産出数と情報モラルに関する記述数の差は有意ではなかった。また,クリエイティブ・ラーニング・スパイラルの各段階の行動に対する自己効力感を調べた結果,介入群の自己効力感は有意に上昇していた。さらに,クリエイティブ・ラーニング・スパイラルに基づいた創造性を育む方法について考察し,子ども間の自由な関わり合いが必要であることを示唆した。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019幼児期の音楽表現活動における歌唱の役割109123ENYoshikaYamashitaMasakoMushiaki10.18926/CTED/56546 幼児にとって「歌うこと」は日常と密着し,幼児の生活に彩りを加えるものである。では,具体的に保育者は,歌を提供する際にどのようなことに注意して歌の選曲や歌の活動を支援するべきなのであろうか。これらを検討するために,現在,幼児期に扱われる曲種の調査,幼児への歌の実践指導,保育関係者へのインタビューを行った。その結果,幼児向けの歌は曲名が「あ」行で始まる歌が多く,生活習慣を学ぶ歌,おとぎ話の歌,架空の生き物の歌等,多様に分類できることが解認できた。また,幼児への歌唱指導では,きっかけの言葉に即時反応する幼児から影響を受けて,他の幼児も反応する等の相互作用がみられた。インタビューからは「大きい声」「小さい声」の出し方の声掛けや歌の活動の工夫が示され,幼児期の歌活動には,年齢に応じた歌の導入,幼児の特性に応じた声掛け等,柔軟で細部まで配慮された指導や援助が必要とされることが明らかになった。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019全学教職課程履修学生の講義前後における生徒指導イメージの変容の検討99108ENTomotakaMishima10.18926/CTED/56545 本研究の目的は,全学教職課程履修学生の生徒指導に関する講義の前後における生徒指導イメージの変容を検討することであった。そのため,教育学部以外に所属し教職課程を履修する学生のうち,生徒指導に関する講義を受講する学生を対象に,講義の前後に調査を行い,115名の有効回答が得られた。その結果,(1)生徒指導イメージの8因子のうち,「指導の難しさ」「一方的な指導」「個に応じたきめ細かな指導」「間違いを正す」「やりがい」の5因子が有意に高まり,学生の生徒指導イメージが講義を通して深まっている可能性があること,(2)学生の生徒指導イメージの因子間相関を講義の前後で算出した結果,講義後に相関係数が有意に転じたものが多く,学生の生徒指導イメージが講義後により多面的になった可能性があること,が主に示唆された。そして,講義の充実度や生徒指導力の高まり度などの補足データと併せて結果が考察された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019「心のコミュニケーション」に関する道徳性の考察 : 教員養成課程におけるプレゼンテーションソフト活用会話形態が大学生に及ぼす道徳性の効果8598ENKiyomiSakamotoKiyokazuSakudaYoshikazuNakayama10.18926/CTED/56543 今日の教員への課題を取り上げ、意思疎通のあるコミュニケーションを導入した教員養成課程の必要性を検討した。なお、大学3年生(男性:10名、女性:15名)を対象として4種類の会話形態を行い、最も意思の疎通を感じ取ることのできるコミュニケーションが推認された。さらに、教職を目指す大学生を対象にして、プレゼンテーションソフトを活用した異コミュニケーションを行い、将来自分たちのえがいている教師像を目標として実施することにより、教員を志としての道徳観を抱くことが明確化された。そして、本研究における結果からこの会話形態により、道徳教育をはじめとする授業等を含めた学校教育活動全体に関わり、意思疎通による道徳性を高める効果が予測された。また、これからの倫理観と道徳観を培うための教員養成課程の在り方について明らかとした。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019望ましい人間関係づくりに向けた特別活動の研究 : アクティブラーニングの充実による笑顔ある学級づくり6983ENKiyohiroSakudaYoshikazuNakayama10.18926/CTED/56542 いじめ、不登校などをはじめとする諸問題解決に向け、学級づくりの基盤である特別活動の在り方について、児童生徒の「望ましい人間関係づくり」の構築について検討した。この目標を達成するためには、コミュニケーション不足が叫ばれる昨今、関わり合いに根差したアクティブラーニングによる学級づくりを行うことが重要であると考える。
本研究では、過去の筆者(作田)の小学校特別活動における実践をもとにした、アクティブラーニングによる人間関係づくりへの効果について分析した。その結果、「望ましい人間関係づくり」における視点が明らかとなり、これらの取り組みにより、自己肯定感と自尊感情の向上、自己実現へと繋がり、「より善く生きる」ことへの効果が見出された。そして、特別活動における人間関係づくりの距離感や対話方法について、各々にとって最も充実感を得ることができ、認知度を向上させるコミュニケーション行為の方法が明確化された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019特別支援学級における自立活動の時間における指導 : 設計・展開過程での課題5768ENAkitakaNakayaNaomiUchida10.18926/CTED/56541特別支援学級において、集団で行われる自立活動の「時間における指導」の実践上の課題を検討するため、実際に特別支援学級で行われた授業を分析した。授業の設計過程では、本時案の個別目標と個別の指導計画の個別目標との関連性、展開過程では、インターバル記録法により児童の授業への取り組み状況を調べた。その結果、設計過程では、長期及び短期の個別目標と本時の個別目標との関連性が極めて低いこと、展開過程では、全5回の授業で児童の意欲的な取り組みと言える課題従事行動が8割以上を占めたこと、ゲーム等の活動を伴う活動での児童の注目度の高いこと等が示された。集団による自立活動の指導の設計過程では、複数の個別目標から1つの授業を構成することの困難さと、年間でバランスよく単元を配置し他の学習と相補的に展開することの必要性、展開過程では、指導者の配慮・工夫等により児童の意欲的な取り組みを引き出すことのできる可能性が示唆された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019大学生・大学院生のスマートフォン依存傾向における退屈感と対人関係の関連4756ENYukaAtsumiMikayoAndo10.18926/CTED/56540 スマートフォンが普及し,問題が増加しているにもかかわらず,未だスマートフォン依存に限定して心理社会的要因を探求した研究は少ない。そこで本研究では,インターネット依存傾向形成要因に関する知見を手がかりに,スマートフォン依存傾向の構成要素と退屈感および対人関係の関連について検討した。大学生・大学院生342名を対象に,質問紙調査を行った。退屈感,対人関係要因を独立変数,スマートフォン依存傾向構成要因を媒介変数,日常生活への影響を従属変数として,共分散構造分析を行った。その結果,退屈感および対人関係を背景要因に,「スマートフォンの効用認知」「仮想的空間志向」といったメリット感を入り口とし,「高揚感」から,コントロール困難な状況,「日常生活への影響」と順に実害に至るプロセスが示された。これらの心理社会的要因を理解したうえで,スマートフォン依存予防対策を検討することが必要だと考えられた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019小学校における児童のいざこざの分類と教師の介入解決方略としてのミディエーションの有効性3346ENTazukoAokiAyakaYamazakiYayoiOkumuraMotokoMiyakeMasanobuKimura10.18926/CTED/56539 子どものいざこざは一般的には起こらないほうがよいと考えられている。他方で,子どもの社会性の発達を促すポジティブな面も指摘されている。本研究では小学校におけるいざこざの実態を調べ,有効な教師の介入解決方略を明らかにすることを目的とした。研究1では,教育実習を終えた大学生126名に質問紙調査を実施し,いざこざの内容を分類した結果,7種が見出された。研究2では,小学校の学級担任93名に,7種のいざこざ場面のシナリオを提示し,どのような介入解決方略をとるか尋ねた結果,ミディエーション(双方の子どもから話を聴き,子どもから解決策を引き出す方略)が,7つのうち5つの場面で最も多くとられていた。研究3では,経験豊富な管理職39名に,より解決が難しい3場面での介入解決方略について尋ねたところ,全ての場面でミディエーションが最も多かった。以上の結果から,小学校における教師のミディエーションの有効性について論じた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019体育活動における準備運動の即時的効果 : コンディショニング収縮がその後のジャンプに与える影響2332ENYotaMinamioShotaEnomotoMasaruKaga10.18926/CTED/56538本研究は準備運動として行うコンディショニング収縮(即時的な筋力増強現象を引き起こす運動)が、その後に行うジャンプパフォーマンスに与える即時的効果を調査することを目的とした。本研究には19名の男性が参加した。対象者は、足関節のみで水平方向のジャンプ動作が行えるように設計されたレッグプレスマシン上で試技を行った。コンディショニング収縮としてカーフレイズ70%1RM10回を2セット行い、カーフレイズの前に3回、その後に6回(post-1min,3min,5min,7min,10min,12min)のジャンプを行った。加えて、ジャンプ動作中の運動学的、運動力学的データを記録し、関節トルクを算出した。カーフレイズ後、10分後にジャンプ高が有意な増加を示し(p<0.05)、足関節ピークトルクも10分後に有意な増加を示した(p<0.05)。これらから、コンディショニング収縮を行うことで、その後に行う単関節運動のジャンプパフォーマンスが向上することが示唆された。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019「またやるのですか?」からの出発 : 岡山県教委の不祥事対策の3年1322ENChiakiTsukamotoShinjiHira10.18926/CTED/56537 岡山県教育委員会が取り組んできた不祥事対策について,その特徴を回顧的に述べた上で,3年が経過した現在の成果について紹介した。ともすると不祥事対策は「言われるからやりました」というアリバイ作り的なものになりやすく,研修の場での発言も形式的なものに傾きやすい。そうした動機づけの低さを「多忙な教員として自然な反応」と認識したうえで,生徒理解を超え,教師自身の人生理解に役に立つように研修資料を作りこんできた結果,現場では「研修を受けてよかった」「研修を繰り返すことに意味があると思える」という声も聞かれるようになったNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019教育ITシステムとしてのGoogle classroomとChromebook112ENuniYamakawa10.18926/CTED/56536 「2030年代を生きる力」と「働き方改革に利するITスキル」を教育するためのアクティブ・ラーニングをサポートする教育ITシステムの構築においてGoogle classroomとChromebookを検討した。教育クラウドプラットフォームのひとつであるClassroomと,Webアプリケーションを利用するChromebookを用いて教育ITシステムを構築すると低コストで導入と運用ができると考えられた。またこの教育ITシステムはGoogleアカウントを経由して作業環境やデータ・ファイルをスマートフォンとPCの間で同期するため,スマホ・ネイティブ世代の情報処理能力をスムースに拡張することができる。これにより国際化が要請されているスマホ・ネイティブ世代が経験するデジタル・デバイドを軽減し,また2030年代に向けて我が国のビジネス・ワーカーが持つITスキルを向上させることが期待される。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019表紙・目次 ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019岡山大学教師教育開発センター紀要 第9号 全文 (一括ダウンロード用) ENNo potential conflict of interest relevant to this article was reported.