Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Improve Shoot Growth and Berry Set of Virus-free Grapevines

Okamoto, Goro
Noda, Masaaki
Published Date
1990
Abstract
1.熱処理及び生長点培養によってウイルスフリー化したブドウ‘コールマン’,‘ピオーネ’,‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’の1年生苗をロックファイバーベットに植え,コーティング肥料または液肥を与えて栽培した.フリー化処理されていない苗を同様に栽培し,比較の対照にした.‘コールマン’と‘ピオーネ’の新梢の生長はフリー苗の方が旺盛で,‘ピオーネは根の生育も活発であった.またフリーの‘ピオーネ’では葉の裂刻が深かった.一方‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’では新梢や根の生育,葉の形態などに明らかな差はなかった. 2.‘ピオーネ’の未フリー化苗を低濃度の液肥(N:20ppm)で育てると,N:60ppmまたは120ppmの液肥区に比べて新梢の生育が著しく劣った.フリー苗では他の濃度区とそれほど差がなかった. 3.‘ピオーネ’の成葉の光合成速度を5月と8月に調査したが,フリー苗の光合成活性が未フリー化苗より高い傾向は認められなかった. 4.ブドウ苗木生産園における接ぎ挿し個体の生育を6月に調査したところ,明らかにフリー苗の新梢生長が優れていた.これらの苗の活着率は‘ピオーネ’,‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’とも90%以上であったが,未フリー化苗ではそれぞれ約61%,38%であった. 5.1月または2月から加温したハウス内で栽培中のフリー及び未フリーの3年生‘ピオーネ’の結実性を調査したところ,結実率,有核果率ともフリー樹の方が高かった.開花期における胚のうの完成率には各加温区とも両樹に差がなかった.また,開花後の花柱及び子房中への花粉管伸長数にも両樹に明らかな差はなかったが,珠孔への花粉管到達数は各加温区ともフリー樹の方がやや多かった。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029