Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

人工不妊昆虫の生態に関する研究 XII.連続の研究結果に基づいたガンマー線 不妊昆虫の生態論

Kiyoku, Masao
Abstract
本論文は筆者およびその協力者が1968年から1977年までの間に,実験動物としてのアズキゾウムシ,ハスモンヨトウおよびミカンコミバエを便用して実験観察し,その都度学会に発表し,また報文としても発表した結果を,今回は一括して整理分類し,個体群生態学および統計生物学的見地よりその総合考察を行ない結論をまとめたものである. 殺虫剤や異常高温度のような殺虫機能を有する要因は昆虫個体群に大きい影響を与えるが,その後生き残った部分には生長繁殖に都合のよい能力の発揮を許し,個体群にはげしい変動をおこし,発生のピークを正常より明らかに高めるという現象を理論的にも実験的にも明確にした. これはむしろ個体群の属性であるから,上述の殺虫機能の要因の他に個体を不妊にして個体群を調節する要因を導入する必要性の実験的根拠を明らかにした. 不妊化雄を正常個体群中に導入すると,雌をめぐって不妊化雄と正常雄の機能的な異種個体群の関係が生ずる. この場合の異種個体群の構成・機能をあらはす一形式として,正常雄に対する不妊化雄の比の対数と孵化率との関係が示す直線式での表現法を試みた. そしてその個体群内における不妊化雄の不妊効果を知る方法として,期待孵化率による理論的回帰直線式と実験によって得た孵化率による実験的回帰直線式との統計学的比較法によった. 不妊化雄を導入した個体群では不妊化の遺伝的機能によって世代的不妊現象が出現するが,それの評価は実験的に困難であるので,統計生物学的見地から,不妊化虫を含む個体群生長を計算し,その生長型を推定すると共に,正常の個体群生長との差を理論的対数個体数-世代回帰直線の分析によって数量的に表現した。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029