Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Studies on the Ecology of Insects Sterilized Artificialy(Gamma Radiation) : XI. Abnormalities of the Ovary and the Salivary Gland Chromosome of Parent Substerilized with Gamma Rays from a 137Cs Source and of its Progeny Generations in Dacus dorsalis HENDEL

Kiyoku, Masao
Fujinami, Toshie
Published Date
1977
Abstract
本研究は137Csガンマー線によって半不妊化したミカンコミバエとその子孫の雌生殖系の異常を観察すると共に,それらの産卵数や孵化率の低下を調べ,また唾腺染色体の調査をも実施して半不妊の原因を考察し,さらにこの観点からInherited Sterilityの機構の解明に近づこうとしたものである. 1)正常雌の卵巣では,羽化後11日目にほとんどすべての卵巣小管に卵が形成された. 2)羽化2日前に3KRのガンマー線を照射した雌では,卵巣の発育が停滞しその約半数は14日目以後には回復するが,他は卵巣内の過半数の卵巣小管の発達の停滞がつづき,一部の小管のみ発達するので卵巣外形がいびつになるもの,卵巣小管自身が変性するものが観察された. 3)このような雌が正常雄と交配すると産卵数は少なく,孵化率も明らかに低い. またこの交配から得られた幼虫の唾腺染色体には異常がしばしば見られた. この幼虫から羽化した雌成虫では少数であるが,変性をした小管をもつものや片方の卵巣の発育が極度に遅れるものがあった. これが正常雄と交配すると産卵数少なくその孵化率も低かった. また,それから孵化した幼虫には睡腺染色体の異常が観察された. 4)羽化2日前に3KRのガンマー線を照射した雄と正常雌との交配から得られる雌成虫では,片方の卵巣が極度におくれ未熟な小管ばかりからなったものや,発育が遅れ奇型的小管のみからなっているもの,または1卵巣内の小管間に著しい発育のずれがあるものがあった. このような雌のうむ卵は孵化率が正常雌のより低い傾向を示した。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029