スイセン,チューリップ,アイリス,およびテッポウユリについて,りん茎の低温処理程度と栽培温度とが生長および開花に及ぼす影響を調べた. スイセン(‘マウント・フット’)は8~10℃で0,20,40,60日間,チューリップ(‘ウィリアム・ピット’)は2~5℃で0,20,40,60日間,アイリス(‘ウェジウッド’)は8℃で0,10,20,40,60日間,テッポウユリ(‘ひのもと’)は8℃で0,15,40,65日間りん茎を冷蔵し,植付けてのちファイトトロンの15,20,25,30℃室で栽培した. スイセンの場合,低温処理機関の短いりん茎は15℃では生長・開花したが,高温では生長・開花しなかった. 低温処理期間の長いものは高温でも比較的よく生長した. 生長・開花の温度範囲は,低温処理を受けることによって高温の側に拡大した. チューリップは,無低温ではいずれの栽培温度でも生長・開花せず,一定程度以上の低温を受けたものは高温のもとで早く生長・開花した. 低温期間の長いものは低い温度でも生長し開花した. アイリスでは,発芽してのちの初期の生育には,温度はあまり作用しなかった. その後は,高温ではやがて生長を停止して休眠状態となり,無低温で栽培温度が20℃および30℃のときには葉が伸長しつづけ,低温期間の長いものはそれらの温度で正常に生長・開花し,15℃ではいずれの低温処理区も正常に生長・開花した. 40日間以上の低温を受けたものは30℃でも花芽形成したが,開花には至らなかった. テッポウユリは無低温でも比較的よく生長したが,低温処理を受けたものの方が早く生長した. また,一定期問以上の低温を受けると高温で早く開花し,着花節位も低下した。