白色レグホン種の産卵鶏に3種類の水銀化合街を投与して,水銀の組織内分布と,卵への移行に関して以下の結果を得た. 1.PMAの場合水銀は腎,肝に高率に分布するが,浅胸筋と脳組織にはあまり分布しなかった. 一方亘MCでは腎,肝に高率に分布するのみならず,浅胸筋,脳組織にもかなりの程度分布した. どの水銀剤の場合も血球へ高率に分布し,血漿には低かった. EMCでは特にこの傾向が著しかった. EMCはPMAと比較して,一般に長期貯留される傾向があった. 2.水銀の卵黄への移行については,MN,PMA,EMCの間に大差は認められなかったが,卵白への移行率には大差があり,EMCが最高で,PMA,MNの順となった. 特にEMCでは試験期間中の卵白への水銀移行総量は投与量の30形あるいはそれ以上に達するものと思われる. 3.PMA投与後数日問は産卵率に影響がみられたが,その後は対照との間に有意差は認められなかった. MN,EMCでは試験期問中産卵への影響は認められなかった. PMA投与鶏のうち2羽が軽度の脚部麻痺を示したが,それ以外には,はっきりした臨床症状は認められなかった。