Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Studies on the Ecology of Insects sterilized Artificially (Gamma Radiation) : V. Development and Reproduction of the Progeny from Irradiated Pupae, Spodoptera littralis Boisd, by Gamma Radiation

清久 正夫
佃 律子
Published Date
1970
Abstract
ハスモンヨトウを完全不妊にする線量よりも低い2Krと16Krの137Csガンマー線を蛹化7~9日目に照射し,羽化した雄を無照射雌と交尾・産卵させ,それから発生したF1およびF2世代の個体を飼育して,幼虫・蛹の発育状態や,羽化した成虫の交尾・産卵の状態を調べた. 1.F2幼虫は2Kr・16Kr照射区とも,幼虫期問が無照射区より長いが,特に雌においてその差が明らかである. 蛹期間は大差がないが平均値は短かい傾向を示す. 2.F2の蛹化率も羽化率も無照射区のそれより低く,その低下の割合は16Kr区が2Kr区より大きい. 16Kr照射区において羽化率低下度の雌雄間差異は雌が大きく,性比は雌の割合が少ない(0.353). 3.F1蛹の体重は一般に照射区が雄雌とも軽い. 4.ガンマー線照射区の蛹より羽化したF1世代雄・雌は一般に無照射区より交尾をする傾向が強く,その産卵数は無照射区のものと同様に多い. 5.それらの組み合わせ(F1♂×F1♀)の卵の孵化率は16Krで0か,または非常に低い値を示し,いわゆる“Inherited sterility”が認められる. しかし2Kr区では無照射区と同様高い. 無照射雄が16Kr区のF1雌と交尾すると(U♂×F1♀),やはり0か,かなり低い値を示す孵化率が得られる. しかしF1雄が無照射雌と交尾(F1♂×U♀)した場合は,孵化率がしばしば高いのでその平均値は前者ほど低くはならない. 6.16Kr区のF1♂×F1♀,U♂×F1♀およびF1♂×U♀の各組み合わせより発生したF2世代の幼虫は発育途中,特に1・2令期に死ぬものが多く,蛹化するもの少なく,羽化はさらに少ない. 僅かに羽化したものは交尾せずに,または交尾しても孵化しない産卵をする場合が多い。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029