Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

土のチクソトロピに関する土性論的研究

Kobashi, Hideo
Abstract
土のチクソトロピ現象についての研究は多く行なわれているが,測定の方法によっても,また測定の速さによっても得られる結果に差異が生じ,チクソトロピの実態を把握し解明することは非常に困難である. 筆者は含水比が液性限界以下の粘土のチクソトロピを考える場合,粒子の配向を基本とすることに着目し,間接的な実態把握を試みた. 先ず粘土粒子の配向にはさきに発表した報文の中で述べたように,任意配列と平行配列とがあり,チクソトロピ現象は平行配列をなした分散構造が,自然的エネルレギーのバランスをとるために,分子的吸引力と反撥力の相互作用によって,任意に組み合わされた構造に移行することによって生ずると推論できる. そして最適含本比よりも湿潤側で突き固められた粘土は分散構造であるから,それが任意配列に移行するときに強度増加が生ずると考え,ベントナイトおよび八浜粘土を各種の合水比で突き固め,蒸発を防いで一定期間放置した後の一軸圧縮強度を求めた. さらに間隙液体としてNaCl・CaCl2の溶液を用いて同様な試験を行なった. その結果をまとめれば次の通りである. (1)ベトナイト,八浜粘土とも塑性限界以上の含水比で突き固めた試料においてはかなりの強度増加があるが,それよりも少ない含水比で突き固めたものはあまり強度が増加しない,これは粘土の弾性的挙動と粘弾性的挙動の相違のためである. (2)強度増加率の最大はベントナイトで含水緋68%のものであり,八浜粘土では含水比47%のものであった. (3)強度浄化率はベントナイトよりも八浜粘土の方が大きい. (4)ベントナイトの強度増加の大部分は突き固め後1日目までに生じているのに対し,八浜粘土では含水比が大きいもので1~7日および49~91日に顕著な増加がある. しかし含水比が低いものでは,強度増加は遅い時期にあり,しかもその率は小さい. (5)NaCl,CaCl2の添加による強度増加の程度は,濃度が高い方が大きく,またCaCl2の方がやや大きいようである. なお本研究は昭和42年度科学研究費補助金によって行ったものである。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029