入学時に動物実験に対し悪いイメージを持っている学生は少なくない。倉敷芸術科学大学生命科学部動物生命科学科では動物実験に対する正しい理解のため、医学およびバイオ分野における従来の動物実験の考え方のみならず、家庭動物を学びの対象とする動物看護分野における動物実験の考え方を取り入れることで、視点の拡大を目指す動物実験学を導入している。動物実験についての情報が少ない低学年では、「動物実験は残酷である」という部分に視点が集中し批判的な意見をもっている。しかしながら、学年が上がっていく過程で自身が動物実験を実施し、その必要性を実感する経験を繰り返すことで、動物実験を単に批判することはなくなっていく。4 年生では卒業研究における課題に科学的アプローチするために動物実験が必要な場合、多くの学生が動物実験の実施を前向きに選択するようにまでなる。学生の学びの対象に即した実験動物や動物実験の定義を教育に導入することで、動物実験への正しい理解へ繋がり、消極的容認が容認や肯定的態度へと変化していくと考えられる。