広島アニマルケア専門学校では、動物看護コース3 年課程(動物看護師志望者と実験動物技術者志望者が混
在)の3 年次に実施する実験動物学実習に際して、動物福祉の観点から動物に与える苦痛を可能な限り少なく
できる実施法を模索してきた。実際に生きた動物を用いる実習を行う前に、いくつかの予備トレーニングを取
り入れた3Rs 実践の試みである。具体的には、ケージ取り扱い練習、先鋭器具取り扱い練習のための雑巾縫
製、保定練習を目的とした軟質ボールによる手指トレーニング、自身の皮膚摘まみ練習、鉛筆や鶏手羽先を用
いた注射器具使用練習、そして餃子の皮、鶏皮、鶏手羽先を用いた解剖器具使用練習などである。これらの取
り組みそれぞれが、果たして効果的であるかどうか検証できているわけではないが、学生の取り組みを間近で
観察した立場から、感覚的には効果を実感している。また、予備トレーニングは、動物に与える苦痛を軽減す
ることを最大の目標とするものであるが、一方で、動物を用いた実習に臨む学生の心理的準備を促す効果もあ
るように感じている。実験動物技術者や動物看護師養成課程、コースが、大学や専門学校に設けられ、そこに
多くの学生が学んでいる現在、動物を用いた実習のプログラムを動物実験倫理・動物福祉の観点からさらに洗
練させることが望まれる。そのプログラムの一部として、われわれの予備トレーニングの取り組みを紹介した。