Okayama Economic Review
Published by the Economic Association of Okayama University

A Study on Central Bank Digital Currency

Honda, Nobutaka
Mimura, Satoshi
Published Date
2023-07-24
Abstract
 本稿では,まず,中央銀行が発行する現代の中央銀行券の性質や発行・流通について省察を行ない,次に,中央銀行券がデジタル通貨に置き換わる可能性について,中央銀行が,本来,果たすべき現金通貨として中央銀行券の機能や役割,また,外国為替決済を含め,グローバルな商品やサービス取引における通貨のデジタル化が進む中で,その機能や役割を十分に果たしえるか否かについて検討した。
 その論点は,「デジタル通貨」はあくまでも消費活動の際に発生する価値を交換する際に使用される機能=手段の一つであり,現金や預金を代替するものとして捉えるものなのか,それとも,消費活動が生成されるまでの全ての過程において個々の場面で発生する価値を交換する媒介手段として,全く新しい機能として捉えるのかによって,機能と役割も含め,実現するまでの道のりは違ってくる。
 想定される中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency,以下CBDCと言う)の機能要件を考慮しつつ,投資対効果の極大化を実現するには,全く新しい決済システムの根幹として「デジタル通貨」の機能面・運用面を確立するものではなく,民間事業者が進めている様々なデジタル化機能を補完するという立ち位置を加味し,現在進められている事業モデルの中に,「中央銀行券」の代替として「デジタル通貨」としてその役割を組み込むことで,時間とコストを抑えつつ,万民が利用可能な「決済システムの中核機能」として実現できる可能性は高いものと思慮する。
 本稿では,民間事業者の取り組みを検証しながら,日本国民にとっても有益となる仕組みの一つとしての「デジタル通貨」の運用方法を考えたい。
Keywords
CBDC (Central Bank Digital Currency)
金と不換紙幣 (Gold and Fiat currency)
決済システム (Payment systems)
Note
論説 (Articles)
ISSN
2433-4146
NCID
AN00032897
JaLCDOI