Annual Reports of Misasa Medical Center, Okayama University volume74
2004-02-01 発行
1982年から2003年までの22年間に当医療センターで入院加療した2295例を対象に5年間毎にその年次推移を検討した。2295例のうちわけは,気管支喘息1400例(61.0%),COPD510例(22.2%),その他385例であった。1.気管支喘息は,第1期(1982-1986年)の5年間では,平均11.4例/年であったが第4期(1997-2001年)では平均93例と初期と比べ8.2倍の増加が見られた。また,第5期(最近の2年間)では87.0例/年であった。そのなかのSDIA(steroid-dependentintractableasthma)の頻度は初期の68.4%から第4期では29.0%,第5期23.6%にまで低下する傾向を示した。
2.COPD症例は,初期の5年間(1982-1986年)では平均5.2例/年から第4期には44.6例/年へと8.7倍の,また第5期では47.5例/年へと9.1倍の増加が見られた。また,そのなかの肺気腫が占める割合は初期の19.2%から第4期では76.7%,第5期では87.4%と明らかな増加傾向を示した.
3.気管支喘息およびCOPD症例の年齢別検討では,60歳以上の症例の頻度は第1期では30.1%であったが,第4期では68.0%,そして第5期では87.4%と,年々その頻度は高くなっていく傾向が見られた。すなわち,最近22年間の年次推移からは,温泉療法を必要とする呼吸器疾患患者が増加しつつあること,そしてその年令は年々高くなる傾向にあることが示されている。