Annual Reports of Misasa Medical Center, Okayama University volume62
1991-08 発行
各種刺激物質添加時の好塩基球の形態的変化―運動亢進と膨化,脱顆粒―と化学伝達物質遊離との関連を中心に若干の知見をのべた。まず,抗原刺激時には,(1)運動亢進をきたし,洋梨状を示す好塩基球と膨化,脱顆粒を示す好塩基球の2種類が観察されること,(2)アトピー型喘息の好塩基球は健康人と比べて全般的に運動が抑制されていること,(3)運動亢進の状態としては,random movementとoriented movementがあり,抗原に対応した特徴的な運動亢進はoriented movementであること,(4)運動亢進と膨化,脱顆粒は,連続した一連のものではなく,それぞれ独立した過程を持っていること,などが観察されている。また,刺激物質の種類によって,好塩基球の形態的変化や化学伝達物質遊離の状態が異なることについても報告した。
好塩基球 (Basophils)
抗原 (Antigen)
運動亢進 (lncreased motility)
脱顆粒 (Degranulation)
ヒスタミン遊離 (Histamine release)