過去3年間にわたり,気管支喘息患者末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離について,ヒスタミン自動分析装置を用いて全血法により検討を加えてきた. 1. 抗ヒトIgE によるヒスタミン遊離は,症例間で著しい差がみられた. この際血清IgE値が高値を示す症例では全般的に高度なヒスタシソ遊離がみられたが,血清IgE値が正常かまたはむしろ低値を示す症例のヒスタミン遊離は,かなり高度なものから全くみられないものまでさまざまであった. 2.ハウスダストやカンジダなどの抗原物質によるヒスタミン遊離は,特異的IgE抗体依存性であり,抗体価が上昇するにつれヒスタミン遊離は高度となる傾向がみられた. しかし,ハウスダストとカンジダによるヒスタミン遊離には若干の差がみられた. すなわち,ハウスダストと抗ヒトIgE によるヒスタミン遊離の間には密接な関連がみられたが,カンジダと抗ヒトIgEの間には全く関連がみられなかった. またカンジダによるヒスタミン遊離においては,IgE系反応以外の反応が関与する可能性が一部示唆された.