放射線管理区域において業務従事者の放射線防護が正確に実施されていることを確認するために放射性同位元素の環境測定が行われている。しかし,実際の測定においては,濃度が低いなど実測困難な場合が多いこと,多くの人手と経費を要していることから,より合理的な測定の実施ができないかということについての検討が期待されている。このため本総説では,まず大学などの放射線管理区域における作業環境測定方法の現状についてまとめた。次に,放射線管理区域の床,作業台などにおける放射性同位元素の表面汚染と空気汚染に着目し,汚染粒子の移行など表面汚染と空気汚染の関係機構について,また,スミア法や直接測定法などの各種表面汚染測定法の汚染採取効率などを指標とした特性とこれら測定法の改良の試みについてまとめた。さらに,実際の作業場所において,作業内容,換気,表面材料などが表面汚染と空気汚染の関係に及ぼす影響について,その検討例を紹介した。得られた知見をまとめるとともに,測定箇所・測定頻度の適性化やそれぞれの測定箇所に適した測定法の選定など作業環境測定の一層の合理化に向けて,今後どのような検討が必要なのかについて提案した。
放射線管理区域 (radiation controlled area)
作業環境測定 (working environment measurement)
表面汚染測定法 (surface contamination measurement)
スミア法 (smear test)
採取効率 (collecting efficiency)