Published by 岡山大学埋蔵文化財調査室 / 岡山大学埋蔵文化財調査研究センター

鹿田遺跡 5 -第7・8次調査-   [医学部基礎研究棟・RI治療室新営工事に伴う発掘調査]

Takada, Kanta
Noshiro, Shuichi
Abstract
第 I 章 歴史的・地理的環境    第 II 章 第7次調査(医学部基礎研究棟建設に伴う発掘調査)    第 III 章 第8次調査(RI治療室)    第 IV 章 自然科学的分析    第 V 章 考察    第 VI 章 結語    写真図版
Note
本報告書は、岡山大学鹿田地区において医学部校舎(基礎研究棟)新営およびR1治療室設置にともなって実施した鹿田遺跡第7次・第8次発掘調査の成果をまとめたものである。 両次の発掘調査はいずれも1998(平成10)年に実施したものであったが、その後、構内遺跡発掘調査が急増したのに加え、調査成果のとりまとめを津島地区中心におこなったため、鹿田遺跡については10年ぶりの報告書刊行となった。本書掲載分以外に関しても医学 部総合教育研究棟や医学部附属病院病棟建設地等での発掘成果を整理中であり、まとまり次第報告書として順次刊行する予定である。 基礎研究棟建設地の発掘調査(鹿田遺跡第7次調査)では、とりわけ屋敷地を区画したと思われる古代末以降の溝が良好な状態でのこされていた。鹿田地域における現在の街路区割りの南北軸は岡山平野の条里から北で東へ15度ほど振れており、藤原摂関家鹿田庄と のかかわりで早くから注目されてきたが、今回報告の遺構からは鹿田地域の地割りが少なくとも12世紀まではさかのぼることが明らかになった。もっともその後岡山市教育委員会が付近で実施した発掘調査によって鹿田地域の地割りが10世紀頃までさかのぼる可能性も でてきており、本学構内遺跡の発掘調査においてはこの地割り設定の年代を究明していく課題がいっそう重要になってきたといえる。 こうした区画溝のなかから14世紀前半に使用されたとみられる猿形木製品が出土したことも、貴重な成果であった。くぐつまわしの操った猿形ということだが、その見事な作りと鮮やかな彩色は、往時、鹿田遺跡で活躍していたらしい中世職能民のいきいきとした姿 を彷彿とさせる。 発掘調査の実施と報告書刊行にあたっては本学医学部から多大なご協力をいただき、また自然科学分析に関し、専門分野の方々から玉稿を賜った。最後になったが、関係各位に厚く御礼申しあげる次第である。
NCID
AN10267809