平成29年3月に公示された学習指導要領の理科は,問題解決の活動を充実し,日常生活や社会との関連を重視する方向で検討したとされているが,問題解決の活動を充実させるための具体的な方法は授業者に委ねられているという印象が強い。かねてより,小学校の理科の授業では,観察,実験を行うことが目的化され,形式的な問題解決になっているという指摘がある。経験の浅い教師や理科の学習指導に苦手意識を持つ教師にとって,授業改善を行うためには,その前提となる問題解決の過程を踏まえた授業を行うための課題を解決する必要がある。本稿では,第5学年「電流がつくる磁力」を基に,単元展開や1単位時間の授業の流れ等を授業者自身が考え,判断することを通して,理科の学習指導に必要な知識・技能,経験を蓄積していくための授業実践を支援できるよう作成,検討した資料を報告する。