本研究では,定時制高校における発達障害の疑われる不登校経験生徒に対する組織的な支援の実際と実践的課題を捉えるために,フォーカスグループインタビューを用いた面接調査を行った。入学前,在学中,進路決定時に関する時期区分を設定した上で,支援の内容を分析した。その結果,対象校では発達障害を生徒の個性と理解し,不登校に関する指導において発達障害の特性に特化した特別な支援は行っていなかった。ただし,生徒の社会的自立と自己肯定感の向上を目指し,個人差を認めた上で,授業場面などを活用した個別支援を行っていた。また,学校外における福祉機関や特別支援学校との連携を展開するなかで,不登校支援に結びつけた取り組みを試みていた。定時制高校は,多様な支援ニーズをもつ生徒を受け入れており,幅広い支援体制の構築が必要とされている実態を明らかにした。