近年、各教育機関において学力以外の能力に多大な関心を集めてきている。しかし、その能
力概念は、全人的・人格的・非認知的な特性ゆえに能力育成のための方法や評価の確立に困難
さを否めない。そればかりか、我が国の諸機関や諸外国から様々な能力概念が提起され続ける
ことで、ますます多様さと曖昧さに陥ってしまった。
そこで、本稿では〈新しい能力〉を鍵として、ここに包括される様々な能力を概観し、これ
ほどまでに関心が集まる背景について人的・社会的な観点から考察する。
さらに、〈新しい能力〉と大学のキャリア教育との関係性を紐解き、〈新しい能力〉を使い
こなすためのキャリア教育の在り方をケース報告する。また、大学生のキャリア教育だけでな
く、小学生の放課後にも焦点を当てて、学童期の発達段階と生活世界にふさわしい〈新しい能
力〉の育成の在り方を提起する。